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声援

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「翔君しっかりしなさ~い。」

僕はスタンドに目をむけると、そこには由美がいた。僕が気づくと、満面の笑顔で由美は手を振ってくれた。そして大きな声で

「頑張れ 水嶋」

「頑張れ ホーリーホック」

と何度も連呼してくれた。

 僕は彼女をみるうちにしっかりと意識がもどっていき、ドクターに

 「いけます」

といい、ピッチへともどっていった。

 まさかくるとはなと思いながら、僕は少し微笑んだ。

  試合はプレスがかからなくなった仙台に対し、水戸がカウンターでゴールを狙う図式が出来つつあった。しかし中々得点が出来ずに、試合は後半のロスタイムとなった。

 仙台のコーナーキックは、僕以外全員守備につき、仙台も2人以外はゴール前にいた。

 キッカーが蹴ったボールはゴール前で大きく跳ね返され、僕の手前へと転がってきた。僕はボールをトラップすると、そのまま最後の力をふりしぼって、ドリブルに入った。サポートはない。寧ろチームは限界だった。だから僕は一人で前だけ向いて突き進んだ。相手は2人だが、一人は抜き去り、もう一人は体を入れ替えて交わした。残るはゴールキーパーのみとなり、僕はやや強めでシュートを放った。キーパーの手にかすり、ボールはクロスバーに当たった。僕はドリブルの勢いのまま頭から突っ込んだ。足がつっていたからだ。

 かろうじて頭にあたり、ボールはゴールへと吸い込まれた。

 ゴールが決まった瞬間、仙台サポーターは沈黙し、水戸サポーターは歓喜にわいた。

 僕はベンチに×サインをだした。もう足がつって動かなかったからだ。試合はその後1分水戸が耐え抜き、水戸が勝利した。そして仙台の4位と、水戸のJ2残留が確定した。

 僕はスタッフに抱えられて、最後の挨拶に回った。

  第14章   君のために

 大きな声援の中、アナウンサーがこういった

「本日のヒーローは、ゴールを決めた水嶋選手です。おめでとうございます。今日は水嶋選手にマイクを渡して自由に話してもらいましょう」

そういうと僕にマイクを渡し、サポーターへの思いを伝えてくれといわれた。

本来なら最後だけに一年間の感謝を言うべきだろうが、僕はいいたいことはこれしかないと考え、思いの丈を話した。

「サポーターの皆さん、一年間ありがとうございました。無事、勝利し、残留できたことをうれしくおもいます。

 私ごとですが、シーズン中に何度かお話を頂き、他のチームに移籍しないかと誘われました。悩みましたが、自分には水戸しかないと残留しました。みなさんには心配かけましたが、来年は水戸でJ1を目指したいと思います。ですから残留します。移籍はしません。

 あともう一言、実は結婚をしたいと思います。この場でいうのは場違いかもしれませんが、いわせてください。

 江原 由美さん  世界で一番愛してます 僕と一緒に水戸で暮らしてください。結婚してください。」

 僕はスタンドの由美を指差していった。

 由美は目にハンカチを当てながら、大きく両手で丸を作ってくれた。僕はサポーターに

「無事、OKをもらいました。来年は夫婦で水戸ホーリーホックをJ1に連れて行けたらと思います。頑張ります」

といってお辞儀をした。

 サポーターからは祝福の声が聞こえた。

 「日本一のサポーターだ」

 僕はそう思いながら手をふった。

 由美のしたまで来ると、僕はスタンドによじ登り、由美の前に立ち、もう一度プロポーズをした。

 今度は笑顔で受け止めてくれた。

 彼女は言った。

 「もう家族のことは考えずに、私の幸せを考えます、宜しくお願いします」と、

 僕は由美を抱きしめた。

 サポータの歓喜と祝福の声、青い空、そして未来まで続く市民球団水戸ホーリーホックが僕らを祝福してくれた。

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